パニック障害とは


パニック障害は、ある日突然、めまいや動悸、心悸亢進、呼吸困難といった症状が繰り返し発生(パニック発作)し、こうした症状に対する激しい不安にとらわれ、生活に支障をきたす病気です。

医師の診断を受けても、身体的な異常は特に発見さないため、不安神経症や鬱病(うつ病)、自律神経失調症、心身症、心臓神経症、過呼吸症候群、心室性頻脈、狭心症、メニエ−ル症候群、過敏性大腸炎と診断されることが多いようです。

パニック障害は100人に1人ぐらいの割合で起こる病気で、日本では男女ほぼ同じくらいの割合で発症していると言われています。

発症年齢のピークは、男性が25歳から30歳位。女性が35歳前後の発病が最も多くみられていると報告されています。

パニック障害の主な症状

パニック障害には3つの特徴あります。


【3つの特徴】

パニック発作
次の症状のうち4つ以上の感覚が同時に起き、10分以内に最高潮に達して、
ほとんどの場合あまり長く続かず、30分以内におさまります。

・胸の痛み ・不快感 ・息苦しさ ・めまい ・足元がふらつく ・気が遠くなる ・死への恐れ
・「気が狂う」ことや自制心を失うことへの恐れ ・非現実感 ・違和感 ・外界との分離感
・顔や体が赤くなる(紅潮)、または悪寒 ・吐き気 ・腹痛 ・下痢 ・しびれ ・ピリピリ感
・動悸(どうき) ・心拍数増加 ・息切れ ・窒息感 ・発汗 ・身ぶるい、ふるえ



予期不安
予期不安とは、1度経験した苦しい発作を「また起こしてしまうのではないか」
という不安が生じてしまうことです。この不安が不安を呼んで悪循環のループに
はまると、症状を悪化させていきます。主な不安感としては、、、

●発作を起こすこと自体への不安

●発作によって起こる、別のことへの恐怖
・死ぬのでは
・何かの病気になるのでは
・気を失うのでは
・事故を起こすのでは(特に車の運転の不安)
・誰も助けてくれないのでは
・すぐに逃げ出せないのでは(発作が起きた場所から)
・取り乱してしまい、人前で恥をかくのでは
・倒れたり、吐いたり、失禁したりして、見ぐるしい姿をさらすのでは
・他人に迷惑をかけるのでは



広場恐怖
広場恐怖とは繰り返しパニック発作を起こすことでその経験が脳裏に焼き付き、
以前に発作を起こした場所や、発作が起きた時すぐに助けを求められいような
場所を恐れることを言います。「広場」という名称がついていますが、特定の場
所や状況への回避思考で、広場に限定されたものではありません。

特に、大通りや人混み、床屋、エレベーター、電車など公共の場が多く、発作の
経験からこうした場所や状況を避け、やがて一人で外出することが困難になり
社会生活に支障が生じてきます。


突然生じる「パニック発作」

↓↓

その発作がまたいつ起こるかと再発を
恐れる「予期不安」の悪循環によって慢性化する

↓↓↓

長期化すると症状が生じた時に逃れられない場面に
ならないよう、その状況に対する回避行動から生活
範囲を限定する「広場恐怖症」が生じてくる




パニック障害の診断

パニック障害は、動悸、胸痛、呼吸困難、めまいなど多彩な身体症状を示すので、本当にからだの異常が原因で発作が起こってないか、身体疾患との鑑別が必要になります。

また、パニック障害の診断では、単にパニック発作が起こったかどうかだけではなく、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖症」のあつの症候の有無を確認してから診断を行います。


(1) 予期しないパニック発作が繰り返し起こる
(2) 発作が起こるのではないかという心配、発作の結果についての心配
(3)発作と関連する行動の大きな変化


薬剤、身体疾患、他の精神疾患によるパニック発作は除外され、また、パニック発作が1 回だけ起こり、その後2度と起こらないケースの場合は、パニック障害とは診断されません。

パニック障害の原因

パニック障害は、現在のところ特定できる原因がつかめていない状況のようです。

しかしその中でも、脳内神経伝達物質の「ノルアドレナリン」「セロトニン」「GABA」などの異常によるものが有力視されています。

精神医学的にはストレスの要因は、やはりあるようです。



ノルアドレナリン仮説
ノルアドレナリンとは、交感神経末端・中枢神経系などに分布して興奮を伝達する
神経伝達物質。ノルアドレナリンには、不安や恐怖を引き起こしたり、覚醒、集中、
記憶、積極性、痛みを感じなくするなどのはたらきがあるのですが、パニック障害
の場合、このノルアドレナリンの過剰分泌あるいはレセプターの過敏が起きている
のではないかと考えられています。


セロトニン仮説
ノルアドレナリンにより引き起こされる不安感が、いきすぎないよう抑える働きを
するのがセロトニン。セロトニンの不足、あるいはセロトニンの過剰により発病する
説もあります。


GABA(ギャバ)仮説
GABA(ギャバ)とは、不安を抑える働きのある神経伝達物質。
このギャバのレセプターや連結しているベンゾジアゼピン・レセプターの感受性に
問題があり、パニック障害につながるのではないかという説。


パニック障害の治療

治療には薬物療法や精神療法があります。

<薬物療法>
パニック障害という病名で国(厚生労働省)に承認されている薬は2つしかなく、患者さんの症状によってその他の抗うつ薬や抗不安薬も用いられることもあります。


【代表的な薬の種類】
SSRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬。新世代の抗うつ剤です。
神経伝達物質のセロトニンだけをターゲットにした薬で、抗コリン
作用が少なく心臓への悪影響も弱いので使いやすい薬と言われ
ています。ただし、吐き気・嘔吐といった副作用がみられます。
日本ではSSRIとして「パキシル」が最も多く処方されています。
SNRI セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬。新世代の抗う
つ剤です。神経伝達物質のセロトニンとノルアドレナリン両方を
ターゲットにしているため、広範囲な症状に有効とされています。
副作用についてはSSRIと同様で、抗コリン作用、心臓への悪
影響なども弱いといわれています。日本ではSSRIとして「トレド
ミン」が最も多く処方されています。
抗不安薬 脳の神経をしずめて、不安発作を予防します。また、心因的な
不安や緊張感もやわらげます。定期的に服用するほか、広場
恐怖のあるときは外出時に頓服することもできます。リボトリー
ルの正式な適応症は”てんかん”ですが、パニック障害の治療
にもよく使われています。
三環系抗うつ薬 古くからある抗うつ薬です。よい効果が期待できますが、副作
用がややでやすのが欠点です。また、効いてくるまで少し時間
がかかります。抑うつ症状があるときに向いています。

<精神療法>
精神療法で最もよくおこなわれるのが認知療法・行動療法


【代表的な心理療法】
認知療法 認知療法とは、自分の「心のくせ」や思考のパターンを知ることで、気分の改善を図ったり社会への適応性を高めたりする、手段を探っていく方法です。パニック症状が現われる仕組みを理解して、発作時に感情のコントロールできるようにします。
行動療法 行動療法は、広場恐怖や乗り物恐怖など、日常生活の行動に支障をきたしている人が、少しずつ実際に行動し成功体験を積み重ねることで、障害を克服していくことを目的とした療法です。

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